【質問内容】
★学校給食を通じた、食育・地消の取組みについて伺う。
まず、「福岡県だより」の11月号の「県産和牛を使った給食を提供中」という記事
が掲載されており、生徒が美味しそうに和牛の給食を食べている写真が載っている。
これは国の事業を活用したと聞いている。子どもたちは、この事業で提供された、
和牛やマダイ、アナゴなどの美味しい給食をとても喜び、家に帰って、「和牛が
美味しかったよ」「今度、家でもアナゴが食べたい」等の家族の会話が進んだとも
聞いている。これらの食材が、食卓でも登ることが増えることも、期待される。
問①この国の事業がどの様なものなのか、提供された食材の種類についても説明
ください。学校給食で提供される際、子どもたちに、どの様にして食材を紹介
されたのか、説明願います。
答①(食の安全・地消課)
・新型コロナの感染拡大により、需要が落ち込んでいる農林水産物の消費拡大
を図る目的の国の事業を活用し、県産和牛、「はかた地どり」、マダイ、ブリ、
アナゴを使った給食を提供した。
・また、給食に合わせて、和牛や地どりの生産者による授業や、ふくおかの魚
のリーフレットの配布などと行った。
・この事業により、コロナの影響を大きく受けていた畜産農家や漁業者からは、
経営がある程度安定したと喜ばれている。
問②ご説明いただいた事業は国の事業だが、県では、食育や学校給食の県産農林
水産物の活用のため、どのような取組みを行っているのか。
答②(食の安全・地産地消課)
・県では、小中学校の子供たちを対象に、柿の皮むき体験や、野菜ソムリエ等に
よる出前講座を実施するとともに、農林水産物の産地マップや出荷カレンダーを
掲載した下敷きを配布した。
・また、学校給食に、県産米の「夢つくし」や「元気つくし」、「福岡有明のり」、
「甘うぃ」、「はかた一番どり」を活用する際の支援をしている。このうち、米は、
県内ほぼすべての学校で、県産米が活用されている。
★県産米、甘うぃ、はかた一番どり、福岡有明のりに対し、支援しているという
ことだが、県には、今年提供された博多和牛やマダイ、アナゴのほか、美味しい
農林水産物が、まだまだたくさんある。年間を通して提供は難しいかもしれない
が、例えば、年に1回、特別なメニューとして、和牛や地どり、マダイ、アナゴ
などが給食に上ると、子どもたちにとって、印象に残ると思う。
問③おいしい県産農林水産物を学校給食に導入するという、このような取組みは、
ぜひ、対象を拡大して、継続していただきたいと思うが、いかがでしょうか。
答③(食の安全・地産地消課)
・給食で出された料理は、子供たちの記憶に残る。そしてお、大人になっても、
その味を思い出し、おいしい県産農林水産物を選んで買い、食べるようになる
ことが期待されることから、できるだけ多くの県産農林水産物を学校給食に利用
していただくことが、とても重要であると考えている。
・このため、県産米や福岡有明のり、甘うぃ、はかた一番どりへの支援、及び
学校給食とJAや直売所等との連携をアドバイスできる専門家を市町村への派遣
について、次年度も支援を継続し、県産農林水産物の活用を推進することとして
いる。
・また、和牛や地どり、県産魚をはじめとした、さらに多くの品目の導入につい
ても、農林漁業団体とも協議しながら、国の事業の活用を含め、学校給食に取り
入れられるよう努める。
【質問内容】
★「新規就農者の確保・育成について」伺う。
本県農業を持続的に発展させていくためには、次代の担い手として新規就農者を
確保し、育成していくことが極めて重要である。その対策として、県は、就農
前後の資金面を支援する、国の「農業次世代人材投資資金」を活用し、新規就農者
の育成にも取り組んでいることは承知している。実際に支援を受けた方からは、
「この資金が非常に役に立った。」との声も聞いている。
問④「農業次世代人材投資資金」について、その内容はどうなっているのか。
答④(後継人材育成課)
農業次世代人材投資資金は、「準備型」と「経営開始型」の二つに分けられる。
「準備型」は、50歳未満に就農前の2年間交付され、継続しない場合は資金を
返還しなければならない。
「経営開始型」は、50歳未満に就農後最大5年間交付され、継続しない場合は
資金を返還しなければならない。
★人生百年時代と言われる中で、50歳以上の方は活用できない。と年齢だけで区別
する資金というものは、国の制度とはいえ、いかがなものだろうか。
確かに、若い世代が就農して、長時間担い手として活躍してもらうことが理想で
ある。その意味において、農業を生業として20年、30年と頑張ろうとする人に
資金を投入する、という点は分かる。しかし、担い手の減少が深刻な状況にある中、
農業が継続して行われること、そのことが私たちの生活に色々な「めぐみ」をもたら
していることを忘れてはならない。
水田は、雨水を一時的に貯めて、洪水や土砂崩れを防いだり、多様な生きものの
育み、また美しい農村の風景は、私たちの心を和ませる。このような「農業・農村
の有する多面的機能」を維持することも、極めて大切なのである。だからこそ、
地域の農業を守っていくためには、年齢に関係なく、やる気のある方をしっかり
支援することが、重要ではないだろうか。
問⑤私は、定年退職後に就農する、いわゆる「定年帰農」の動きにも注目しなければ
と考えている。現在、そのような方に対する支援は、どのようにされているのか。
答⑤(後継人材育成課)
・定年後に農業をしたいという方にとっては、農作業の段取りや、収量・品質を安定
させるための技術が十分でないことなど、栽培技術の習得が課題となっている。
・このため、普及指導センターにおいて、年齢を問わず参加できる「営農基礎講座」
を開催しており、土づくりや肥料のやり方、病害虫対策などの基礎を学んでいただく
ことで、新規就農者の早期の技術習得を支援している。
・また、農業大学校では、農外からの就農希望者を対象とした「研修科」を設けて
おり、50代、60代の卒業生もいる。
★農業の担い手不足の状況は、県内各地で実に様々である。また、定年帰農の方も、
「家庭菜園中心で時々直売所に出したい」という方から、「市場に出荷して本格的
に農業経営したい」という方まで、多様であると思う。「本格的に農業経営したい」
という方には、きちんと対応していくことが大切ではないだろうか。
県内のある首長からは、「担い手不足は極めて深刻。定年退職を契機に農村へ戻って
くる方を活かして、農業従事者を増やすことが課題である。」との声も上がって
いる。
問⑥このような声を把握されているのか。また、定年帰農の方への支援の事例が
あれば、その内容をお聞かせください。
答⑥(後継人材育成課)
・農業従事者を増やすために、定年退職をされた方の力を活かしたい、という地域
の声があることは承知している。
・京築普及指導センター管内では、定年後に農業経営をしたいという方があり、
JAと連携し、露地で栽培できるナスやキウイ、花のケイトウなどの推進品目を
選定の上、栽培講習会へ誘導しりことで、産地の活性化に結びつける活動を支援
しているところである。
★しっかりと儲かる農業を展開するためには、施設園芸などの高収益な農業に
取り組む必要もあると思う。しかしながら「定年帰農」は、若い世代と比べると、
どうしても就農している機関が短いため、大きな投資な難しい。高収益型園芸事業
を活用して補助金を受けたとしても、回収はなかなか厳しいと言わざるを得ない。
問⑦このような点を踏まえた上で、県としての考えをお尋ねします。
答⑦(後継人材育成課)
・御指摘のとおり、施設園芸に取り組むためには、農地の確保はもとより、ハウス
施設や農業機械、トラック、倉庫などが必要となるため、事業を活用したとしても、
一定の初期投資は必要であり、経営上のリスクを伴う。
・「定年帰農」で本格的に農業経営を始めるにあたっては、まず経営ビジョンの
明確化と、知識や技術の習得が必要となる。また、資金や、先ほど述べた生産基盤
の確保など、若い世代と比べ、就農機関が短いがゆえに、しっかりとした農業経営
の道筋を描く必要があると考えている。
問⑧「定年で農業をやりたい。」という声があることは大変良いことである。
この定年帰農の流れを農業・農村へ、どのように迎えるのか、そういった議論も
なされているところである。そこで最後に、「定年帰農」を含めた新規就農者の
確保・育成について、部長の力強い決意をお聞かせください。
答⑧(部長)
・農業従事者の高齢化や現象が続く中で、新たな人材を確保していくことは、本県
農政の重要な柱である。
・県では、若い農業者を確保するため、就業セミナーや相談会の開催、農業版ハロー
ワークともいえる「マッチングセンター」の運営、新規就農者の経営力強化を図る
ための営農基礎講座などに取り組んでいるところである。
・地域によっては、御指摘の「定年帰農」といったニーズもあるため、先ほど室長が
申し上げた栽培品目の選定や技術指導を行っている。
・来年度から新たに、中山間地域において、新たな人材を呼び込むため、地域の商工
会等と連携した、半農半Xの取組も進めることとしている。
・こうした多様な角度から、本県農業を担う新たな人材の確保・育成に、しっかり
取り組んでいく。