令和3年2月予算特別委員会にて質問に立ちました①

【質問内容】

バイオ産業の振興について(バイオベンチャーによる新型コロナ治療薬開発、機能性表示食品開発)

問①久留米市のバイオベンチャー㈱ボナック社は、昨年5月、福岡県保健環境研究所と新型コロナウイルス治療薬の共同開発の覚書を締結しました。県民の期待も大変高いプロジェクトですが、その後の進捗状況はどうなっているのか。

答①◎久留米市バイオベンチャー㈱ボナック社 (担当)核酸医薬による候補薬の設計、合成

◎福岡県保健環境研究所(担当)ウイルス株と細胞実験術を用いて候補薬の検証作業

2020年5月 新型コロナウイルス治療薬共同開発覚書締結

2020年8月 福岡県庁で記者発表 体内での安定性が高く、少量でも効果が期待できる3種類の候補薬にまで絞り込みを終えた。https://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/bonackishakaiken0825.html

2020年10月 フランス動物実験の進行

2021年   1月 候補薬の有効性も確認できたとの報告

今後     候補薬の安全性を確認する非臨床試験などに入り、来年度中にヒトに    

      対する治験開始を目指す

 

問②ボナックは、「核酸医薬」という次世代医薬による開発を目指していると聞きますが、どのような特徴があるのか。

答②◎核酸医薬 ・直接ウイルスに作用

        ・吸入薬で開発するため、患部である肺に直接作用

        ・注射や、口から服用する「経口薬」とは異なり、血液を介さない 

         ため、成分が全身に回らず、副作用の心配が少なく、軽症から重

         症の方まで投薬可能

        ・一度開発に成功すれば、新たなウイルス感染症が発生した場合

         でも、核酸の配列の変更だけで新薬が開発可能なため、

         短期間で開発が可能

◎通常のウイルス感染症治療薬 ・ウイルスがヒトの体内で増殖するために必要と

なるタンパク質や酵素などの成分の働きを阻害

 

問③現在、新型コロナの変異株が世界的に流行しており、日本でもその感染者が報告されています。

ボナックが開発中の治療薬は、変異ウイルスにも効果が見込めるのか。

答③・現在までに発見された世界中の変異ウイルスは、NCBIというアメリカの公的機関によりデータベース化されている。

・ボナックは、そのデータベースにあるウイルス変異株130件すべてについて検証済みとのことである。このため、治療薬が開発できれば、変異ウイルスにも問題なく効果が期待できると思われる。

 

問④今年度予算において、新興感染症治療薬開発に向けた連絡会議設置の経費が計上されています。この連絡会議について、お答えください。

答④・新たな感染症が発生した場合の方策について、定期的に意見交換を行うため、県とバイオベンチャー、製薬会社、大学などとの連絡会議を設置しようというものである。

この連絡会議を中心に、産学官それぞれの立場で課題を抽出し、迅速にワクチンや治療薬を開発する体制作りについて検討を行っていく。

 

問⑤着実に進展してきた、「福岡バイオバレープロジェクト」ですが、これまでの主な成果について、ご説明ください。

※「福岡バイオバレープロジェクト」とは、福岡県では、21世紀の新産業創出のの重要分野に位置付けられる

バイオ産業の一大積拠点(バイオクラスター)の形成を目指す取り組みを進めている。

その取り組みの中核的推進組織として、福岡県知事の呼びかけにより、産学官で構成する「福岡バイオ新産業拠点推進会議」を平成13年9月に設立した。

答⑤・「福岡バイオバレープロジェクト」では、「創薬」と「食品」の2本柱で、産学官一体となった研究開発や、ベンチャー育成に取り組んできた。

・この結果、取組開始時に32社あったバイオ関連企業数は230社へと7倍以上に増加している。

・「創薬分野」では、委員からご紹介のあったボナックのほか、独自のゲノム編集技術で、生物の持つ物質生産能力を最大限に引き出す、いわゆる「スマートセル」技術を持つベンチャーや昆虫を活用して、ワクチンなどに活用できる

希少なタンパク質を量産できる技術を持つ企業など、国際競争力のあるバイオベンチャーも次々と育ってきている。

・「食品」では、平成27年度からスタートした消費者庁の「機能性表示食品届出制度」を活用した食品開発にも取り組んでいる。現在、本県の届け出数は、認知症予防が期待できる「はかた地どり」など256件で、東京、大阪に次ぐ、全国第3位である。

 

問⑥最先端のベンチャーの集積も重要ですが、地域の中小企業をターゲットとした取組みも忘れてはならない。

そうした観点で、私が注目するのは「機能性表示食品制度」である。県では、この分野への参入を支援するため、何か支援を行っているのか。

答⑥・県では、地域の中小企業を支援するため、制度開始当初から九州大学と連携して「相談窓口」を設置しており、機能性成分の目利き調査や、論文の予備調査を行っている。

・近年は、消費者庁への届出が厳格化されており、中小企業にとっては、この調査経費が申請のボトルネックとなっていることから、来年度から新たに、「研究レビュー」に対する経費補助も導入したいと考えている。

・加えて、消費者庁への届出ノウハウを学ぶ研修会も新たに実施する考えである。

 

問⑦機能性表示食品に取り組もうとする中小企業にとっては、非常に心強い支援である。こうした支援は、他県でも行っているのか。

答⑦目利き調査から研究レビューの作成支援など、申請から届け出まで一貫した伴奏支援を行っている例は、私どもが知る限り、本県だけである。

 

問⑧「機能性表示食品」開発のノウハウを生かし、「宇宙食」開発にも取り組んではどうかと考えるが、いかがでしょうか。

答⑧・宇宙飛行士は、長期間、閉鎖空間での生活を強いられる。健康を維持するため、機能性成分を持つ「宇宙食」の開発は歓迎されるものと考える。

・また、「宇宙食」は長期保存を前提としているため、災害時の「非常食」としても利用できる。

開発に成功すれば、「非常食」としても売り出すことができ、新たなビジネスに繋がることが期待される。

・宇宙食としてJAXAから認証を受けるためには、長期保存性に加えて、製造設備の衛生管理など、高いハードルをクリアする必要がある。来年度から、開発ノウハウを学ぶ勉強会を開催し、この分野に挑戦しようと考えている県内の中小企業の皆さんを応援する予定である。

国においては、バイオ産業を、今後の成長産業と位置付けており、地域間競争は年々、厳しくなってきています。地域間競争に打ち勝ち、更なる拠点化を目指して、しっかりと取り組んでいただきたいと思う。

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